「ネット銀行=金利が安くてお得」は本当?
住宅ローン選びの相談を受けると、最近は多くのお客様がこうおっしゃいます。
「ネット銀行って金利が安いですよね。SBIとかauじぶん銀行とか…」
確かに、表面的にはメガバンクや地銀よりも低金利。
でも実際に現場で仲介している私たちから見ると、「ネット銀行には落とし穴がある」と感じることもしばしば。
この記事では、**ネット銀行で住宅ローンを組む前に知っておきたい“注意点”**を、実際の相談事例も交えてご紹介します。
事例|ネット銀行を選んで住宅購入がズレ込んだHさんの場合
静岡県富士市在住・Hさん(30代会社員)
希望物件は建売住宅・価格2,980万円
「ネット銀行の変動金利が0.6%でめちゃくちゃ安いんです!絶対これで組みたい」と意気込んでいたHさん。
でも――
・書類の提出に時間がかかる
・売主(不動産会社)から「時間がかかりすぎる」と急かされる
・ローン特約期限に間に合わず、契約白紙に…
Hさん「結局、金利じゃなくて“スピード”と“融通のきく担当者”が大事だったんですね…」
ネット銀行とは?メリットと注意点
✅ メリット
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超低金利(0.6%台も)
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店舗がないため、人件費カット→金利や手数料が低め
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一部銀行では、保証料・事務手数料も明確で安い
⚠ 注意点(落とし穴)
落とし穴 | 内容 |
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審査に時間がかかる | 審査プロセスが機械的で、人間の裁量が効きにくい |
売主・不動産会社が嫌がることも | 「つなぎ融資非対応」「契約に間に合わない」など |
つなぎ融資に非対応なことが多い | 注文住宅には致命的。土地決済→建物着工ができない |
担当者と直接話せない | 原則メール・チャット中心、柔軟な調整不可 |
物件によっては不可 | 私道・再建築不可・市街化調整区域など特殊物件はNGのことも |
不動産現場から見た「ネット銀行の弱点」
① ローン特約期限に間に合わない
ネット銀行では審査に2〜3週間以上かかることも。
一方、一般的な不動産売買契約ではローン特約期限は10日〜14日以内のことが多く、売主(特に業者)が嫌がる原因に。
② 担当者が不在=交渉や調整が利かない
地銀や信用金庫なら、「このお客様、どうしてもこの物件が欲しい」と言えば多少の無理も聞いてくれる。
でも、ネット銀行ではその余地がほぼゼロ。
③ つなぎ融資が使えない
注文住宅の場合、土地決済後に建物完成までに融資が必要=つなぎ融資が必須。
多くのネット銀行ではこの対応がない or ごく一部のみ。
h2:ネット銀行が向いている人・向いていない人
✅ 向いている人
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時間に余裕がある(契約を急がない)
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建売住宅や中古住宅を購入予定
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書類管理やオンライン手続きに慣れている
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金利と手数料の安さを最重視したい
❌ 向いていない人
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注文住宅を建てる(つなぎ融資必須)
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物件の契約を急ぎたい(ローン特約が短い)
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自営業や非正規雇用など「属性が複雑」な人
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不動産会社とスムーズに連携したい人
h2:FP・宅建士の私がすすめる「ネット銀行活用法」
私の結論は、こうです。
✅ ネット銀行は“選択肢のひとつ”に過ぎない
✅ 「金利」だけで判断しない
ネット銀行の金利は確かに魅力的ですが、「通らなければ意味がない」「遅れたら買えない」という現実もある。
💡活用のコツ
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並行審査をする(ネット銀行+地銀 or 信金)
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仮審査だけでもネット銀行で出しておく
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売主と交渉する前にローン特約の期間を確認
h2:まとめ|「金利」よりも「信頼とスピード」が大事な場面も
ネット銀行の住宅ローンは、正しく使えば家計に優しい選択肢です。
でも――
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審査が遅れる
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書類が煩雑
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融通が利かない
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契約が流れるリスク
こういった落とし穴があることを知らずに進めてしまうと、「安さの代償」はとても大きなものになります。
📌 まとめ
「ネット銀行の金利、確かに魅力的ですよね。でも不動産の現場では、“スピード感”や“対面での信頼関係”が大切な場面が多いんです。
私は、ネット銀行も含めて比較しながら、最終的に“お客様にとって最もストレスの少ない方法”を選んでいただくようにしています。」
ブログ監修:日比幸平
保有資格:宅地建物取引士・ファイナンシャルプランニング技能士2級 他