「3,000万円の家が3,000万円じゃ買えない」って本当?
「予算は3,000万円でお願いします」
そう言ってご来店されるお客様は少なくありません。
でも、私たち不動産のプロからすると、その一言にヒヤッとする場面も多いんです。
なぜなら、住宅購入には“物件価格以外の費用”=諸費用がかかるから。
実際、こんなケースがありました。
【相談事例】
静岡県富士市在住・Hさんご夫妻(30代)
初めての住宅購入で、予算は「3,000万円ジャスト」。
ご夫妻:「この物件2980万円で予算内だしいいね!」
私:「物件は2980万円ですが、別で諸費用が約180万円程必要になるんです」
ご夫妻:「えっ、諸経費ってそんなにかかるんですか!?」
私:「諸費用は一般的に“物件価格の6〜10%”程度かかるんです」
住宅購入にかかる諸費用とは?
諸費用の内容は大きく分けて以下のようになります。
項目 | 内容 | おおよその費用 |
---|---|---|
登記費用 | 所有権移転、抵当権設定などの手続き費用 | 約20〜30万円 |
仲介手数料 | 仲介業者への報酬(売主が業者でない場合) | 約80〜100万円(3,000万円の物件) |
ローン手数料 | 金融機関によって異なる。保証料・事務手数料等 | 約30〜50万円 |
火災保険料 | 建物・家財などへの補償(10年分前払いが多い) | 約15〜30万円 |
固定資産税清算金 | 売主と買主で日割り計算して精算 | 数万円程度 |
印紙代 | 売買契約書、ローン契約書に必要 | 数千円〜数万円 |
その他 | 引っ越し費用・家具購入なども要考慮 | 数万〜数十万円 |
👉 合計:150万円〜250万円程度が相場
諸費用を見落とす“3つのパターン”
①「フルローンでOK」は通用しないことも
多くの金融機関では、物件価格+諸費用の全額ローン(いわゆる諸費用ローン)には制限があります。諸費用は自己資金で賄う前提で審査されることもあり、審査落ちの原因にもなります。
②「売主物件=諸費用が少ない」も要注意
確かに、売主が不動産会社であれば仲介手数料はかかりません。でもその分、販売価格が高めに設定されていたり、諸費用の内訳が見えにくいケースもあります。
③「引き渡し後の出費」が抜けている
家具・家電・カーテン・外構費用…
いざ引っ越したら「お金が足りない!」なんてケースも。これも“諸費用”と考えて予算に入れるべきです。
住宅購入時の資金計画、どう立てる?
✅ ステップ1:自己資金の確認
まずは、「いくら現金で用意できるか」を確認。手元に残すお金も含めて資金配分を考えるのが大事です。
例)
-
手元資金:400万円
-
手元に残したい金額:100万円
→ 諸費用+頭金に使える金額:300万円
✅ ステップ2:物件価格の目安を逆算
たとえば、借入希望額が2,700万円、自己資金が300万円あれば、
**購入可能な物件価格は3,000万円(2700+300)**になります。
ただし、その300万円の中から諸費用180万円を引くと、実質の頭金は120万円。
これを考慮して、2,820万円の物件が限界ラインという見方もできます。
FP・宅建士が教える「諸費用を抑えるコツ」
✔ 火災保険を一括見積りで比較する
→ 内容は同じでも保険会社によって数万円の差が。
✔ 金融機関選びで手数料を抑える
→ ネット銀行や地銀には、保証料0円の商品も。※ネット銀行は借り換え融資非対応が基本の為、注文住宅で使う際は要注意、別のコラムで解説します。
✔ 引き渡し後の支出も予算に入れておく
→ 外構・照明・家具で100〜150万円程度は見ておくと安心。
まとめ|「物件価格+250万円」までが現実的予算
多くの方が住宅購入=物件価格の話だと思いがちですが、実際には違います。
私が何百組とご案内してきた経験から言えるのは、
✅ 「物件価格+諸費用+引越後の生活費=本当の予算」
ということ。
最初からこの認識があれば、「こんなはずじゃなかった…」を防げます。
💡最後に:相談はプロに早めに!
不動産会社やFPに**“買う前に”**相談することが、予算オーバーを防ぐ最大の方法です。
「今の年収で、いくらまでの家が買えそう?」
「諸費用を含めていくら貯めておけば安心?」
そんな疑問も、ぜひお気軽に相談してくださいね。
私たちかごやのスタッフは、お客様に寄り添った提案を心がけています。
ブログ監修:日比幸平
保有資格:宅地建物取引士・ファイナンシャルプランニング技能士2級 他